今回はインファントフローサイパップの使用方法について説明します。
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呼吸器回路。多くの施設はエア・ウォーターのインファントフローLP ジェネレーターシステム回路を使用していると思いますが、当院は東機貿社製の回路を使用しています。 機器と加湿チャンバーをつなぐラインと 機器と加湿チャンバーをつなぐラインと圧力測定チューブに分かれます。 この回路の場合、通常であればその他に準備する物品として、広口開栓の蒸留水と 加湿チャンバーと(当院は給水ポート付きを使用しております) シリンジが必要になります。(給水ポートから蒸留水を入れるために) この回路の特徴として、自動給水式の加湿チャンバーが使用できません。 これは、ジェネレーター(プロングやマスクの接続部)の作り上、回路内の圧が高くなってしまうためです。 このため蒸留水の補充は定期的に手動で行う必要があり、シリンジを使用して蒸留水をチャンバーに入れていました。 清潔に水を補充するために毎回新しいシリンジを使うため、コストがかさんでしまいます。また、操作がとても複雑に感じます。 このため、現在は蒸留水をゴム栓タイプに変更し 輸液ポンプセットと 三方活栓 を使用して簡易的に水の補充ができるようにしています。(組立方法はこのあと説明ししていきます) 使用物品をまとめると、呼吸器回路、蒸留水、加湿チャンバー、シリンジ、輸液セット、三方活栓になります。 ①加温加湿器に加湿チャンバーを取り付けます。 ②機器本体と加湿チャンバーをつなぐラインを接続します。 ③ 機器と加湿チャンバーをつなぐラインを接続します。 ④圧力測定チューブを接続します。 ⑤加温加湿器の温度プローブとヒーターワイヤを接続します。 ⑥給水ポートに三方活栓を接続します。 ⑦三方活栓に輸液セットを接続します。 ⑧三方活栓にシリンジを接続します。 1. 輸液セットを蒸留水に接続し、蒸留水とシリンジが接続するように三方活栓を図のような向きにセットします。 2. シリンジを引いて水を溜めます。 3. 三方活栓の向きを変え、シリンジと加湿チャンバーが接続するようにします。 4. シリンジを押して蒸留水を加湿チャンバーへ流します。 5. 蒸留水が一定量溜まったら、三方活栓を閉じ、空気が逆流しないようにします。 1. 電源ケーブルと酸素・空気配管を接続します。 酸素配管、または空気配管のみ接続するとピーーっと高音の警報が発生します。 警報音を鳴らさないようにするには、酸素と空気配管を同時にさすと警報をならさないでセッティングできますので、音が気になる方は試してみて下さい。 2. 機器背面にある電源ボタンをONにします。 3. 下のような画面で立ち上がりますので、「CAL」を押して酸素濃度の較正を行なっていきます。 4. 酸素濃度の較正画面です。 21%と100%酸素濃度の較正を行なっていきます。 流量計①の流量をある程度流し、酸素濃度設定を21%に設定します。 5. 30〜60秒ほどおき、測定酸素濃度が変動しなくなったら確定ボタンを押します。 長時間置いても表示が23%などで変動しなくなる場合があります。これは異常なことではなく、機器の較正がずれているために起こる現象ですので、確定ボタンを押して機器に正しい値を読み込ませます。 注意点 立ち上げてすぐは測定酸素濃度が21%と表示されていても、少しすると濃度が変わることがありますので、30秒ほどランニングさせましょう。 6. 確定ボタンを押すと、砂時計に変わります。測定酸素濃度表示が変動しますが、故障ではありませんので、砂時計が消え21%表示になるまでこのまま待機します。 レ点がつきます。 7. 次に100%酸素の較正を行います。酸素濃度設定を100%に設定し30〜60秒ほど待ちます。待ち時間が長く感じるかもしれませんが、急いで決定ボタンを押すと表示酸素濃度がずれてしまいますので、値が動かなくなるまで待ちましょう。 8. 値が動かなくなったら確定ボタンを押します。 9. 砂時計が出ますので、 砂時計が消え、100%表示になるまでこのまま待ちます。 10. 使用時、誤って100%酸素が患児へ投与しないように21%に設定し、「EXIT」ボタンを押します 11.下図の画面が立ち上がります。しかし、圧力が1.5cmH2O未満だと点検ができませんので、プロング装着部分を閉塞して圧力が1.5cmH2O以上になるようにします。 12.流量計①が任意の流量に設定できることを確認し、確定ボタンを押します。 13. 酸素濃度が任意の値に設定できることを確認して確定ボタンを押します。 14. 流量計②が任意の流量に設定できることを確認し、確定ボタンを押します。 15. 腹圧センサーが機器と接続していること確認をします。使用しない場合は❌が出ていても確定ボタンを押します。 以上で使用前点検は終わりです。 1.使用前点検が終了すると下の画面が立ち上がり、現在の圧力と酸素濃度が表示されます。 こちらも、圧力が1.5cmH2O未満だとアラームがなりますので、プロング装着部分を閉塞して圧力が1.5cmH2O以上になるようにします。 2.「NCPAP」ボタンを押すと下図のようになります。 ①は現在の設定を表示します。②は圧力値を表示します。 3.「Manual Breath」ボタンを押すと、「T-High」で決められた時間、流量計②の酸素が加わり、刺激を与え呼吸を促したりすることができます 4. ①はアラーム値の上・下限を表示します。②の「BiPhasic」ボタンを押すと BiPhasicモードへ変更できます。 5.BiPhasicモードの設定方法 時間設定:①時間設定ボタンを押し、②の設定時間を、③の上下ボタンで設定します。 6. 呼吸回数設定:①の呼吸回数設定ボタンを押し、②設定呼吸回数を③上下ボタンで設定します。 7.設定の終了です。下図の場合ですと、通常は8l/minの酸素が流れており、そこに4l/min(トータル12l/min)を一回0.7秒、一分間に30回流してBiPhasicモードを行います。 酸素濃度誤差 酸素濃度設定が21%でも、測定酸素濃度が20%などとずれて表示されることがあります。 この場合、設定酸素濃度を少しあげ、表示を21%に合わせてしまっているのを何度か見たことがあります。 表示は21%ですが、実際の酸素濃度は22%か23%になっていますので、再較正が必要になります。 騒音 新生児、特に早産時は大人に比べて極めて音に敏感であり、過度の音は頭蓋内圧上昇、低酸素血症を引き起こすといわれている。さらに長期的予後には聴覚障害や注意欠陥過活動性障害のリスクも危惧され、アメリカ小児科学会(AAP)ではNICUでの騒音レベルを45dB以下と推奨しています。 8L/minの流量で呼気出口の騒音は70dBを超えますので、呼気出口部を患児の近くに置かないようにしましょう。 さいごに 今回はサイパップの使用方法について説明いたしまた。機器の正しい使用方法を知ることでパフォーマンスの良い治療が可能になります。 今回は記入しませんでしたが、プロングやマスクを患児に装着すると、鼻部の発赤・潰瘍・鼻中隔壊死などの障害を起こす場合もあります。 また、患児の体動でプロングが外れてしまうのを防ぐために、ついつい強めに固定してしまうこともあるかと思いますが、圧迫しすぎると陥没したり、顔面変形を起こしてしまうことがありますので注意が必要です。 準備物品
回路組立方法
蒸留水の補充方法
使用前点検方法
画面説明と操作方法
使用中の注意点