最近複数の病院の看護師さんから、新生児蘇生に使用するTピースの使用方法についての問い合わせが立て続けにありました。
このため、今回は蘇生用Tピースの使用方法について説明していきたいと思います。
蘇生用Tピースは赤ちゃんの蘇生の初期処置が終了したあと、心拍数100/分以上で自発呼吸があり、努力呼吸と中心性チアノーゼの両方が認められる場合に、まずは空気を利用しての「持続的気道陽圧(CPAP)」が推奨されています。
人工呼吸で蘇生を受ける児では 100%酸素は空気と比べ短期的転帰に対し何ら利点はなく,第一啼泣 までの時間を延長させる。
Tピースは単体機と
開放式保育器に内蔵されているタイプがありますが、どちらも使用方法は同じになります。
通常は事前に設定・準備されているので、赤ちゃんに装着すれば設定したPEEPがかかり、
PEEP/PIP切替孔を抑えるとPIPがかかり、赤ちゃんの呼吸補助を行うことができます。
作りがとてもシンプルなため操作が簡単そうに感じます。しかし、簡単そうな機器ほど使用方法が浸透していないということがあります。この機器もその一つかと思います。
このため、セッティング・操作方法を詳しく解説していきたいと思います。
設定方法
1.必要物品
機器本体の他に専用の回路と、赤ちゃんに合うサイズのマスク、(必要に応じてテストバック)を準備します。
2.回路の取り付け
専用回路回路を患者回路接続部に接続します。
3.セッティング
酸素流量計の配管を壁のアウトレットに差し込みます。
4.酸素濃度・流量設定
酸素濃度・流量設定つまみを回して濃度・流量を設定します。
5.PEEPの設定
⑴Tフローバルブをテストバックなどで塞ぎます。
⑵圧力計が任意の値になっていることを確認します。
⑶PEEP圧が高かったり、低い場合は①PEEP設定ツマミを持ち上げ、②ツマミを回してPEEP圧を設定します。(Tフローバルブが閉じていないと圧がかからないことがあるのでしっかりと閉塞してください)
6.最大解放圧(P MAX)の設定
最大解放圧とは、何かの影響で回路内圧が高くなっても、回路内の空気を外部に逃して、それ以上は圧が上がらないよう設定した圧になります。
通常は事前に設定してありますので、使用毎に設定することはないと思いますが、今回は設定方法の説明なので、記入していきますね。
⑴最大吸気圧(PIP)と間違って設定しないようにカバーが閉まっています。
⑵開けるとダイヤルがあります。
⑶最大吸気圧(PIP)ツマミを最大まで回します。
⑷TフローバルブとPEEP/PIP切替孔を塞ぎます。
圧力計を見ながら任意の圧に調節を行います。当院はPIPよりも少し高い圧に設定しています。
設定している間、異常をお知らせするビープ音が発生します。これは最大解放圧に達しているため、異常な状態であることを周りにお知らせするために音が発生します。
7.最大吸気圧(PIP)の設定
PEEP/PIP切替孔を塞いだ時に赤ちゃんにかかる圧力値になります。
⑴TフローバルブとPEEP/PIP切替孔を塞ぎます。
⑵最大吸気圧(PIP)のノブを回して
⑶任意の圧に調節します。
以上で設定は完了になります。
赤ちゃんへの使用
実際に赤ちゃんへ装着すると、PEEPが掛かります。
PEEP/PIP切替孔を塞ぐとPIPに達します。
これらを繰り返すことによって、安全に赤ちゃんに一定のPEEPとPIPをかけることができるようになります。
注意点
加湿された空気を送ると圧力計の故障や、水滴により菌が繁殖してしまう危険性がありますので、加湿は行わないようにしましょう。
Tピースは機器を正しく設定することで、誰でも赤ちゃんに一定の呼吸補助を行うことができます。しかし、設定がしっかりできていないと、思ったような圧が掛からないことがあります。使用中に何か変だなと感じたら使用を中止し、ジャクソンリースなどの蘇生バックに交換して下さい。使用後落ち着いたら設定の確認をしてみてください(^_-)