看護師さんが知らないと損するコツを臨床工学技士が伝授します

毎日多くの看護師さんや先生から医療機器の使用方法や操作のコツについて相談を受けます。頂いた相談に対する答えをブログを通してみなさんに伝えることにより、少しでも多くの人の悩みや疑問を解消できるお手伝ができればと思いブログの開設を行いました。

在宅呼吸器使用時の注意点〜テストラング使用について〜 在宅呼吸器を使用している方や訪問看護に関わる方は必読です!

当院の医師は素晴らしい技術・知識を持った方が数多くいらっしゃいます。

そのため、当院の医師に受診して欲しいとのことで日本全国から患者さんが来られます。

 

ある先生は主に新生児・小児の呼吸器系を専門にやられています。その先生に受診・検査をして欲しいとのことで日本各地から入院されてきます。

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呼吸器系の疾患のため、呼吸器を持ち込んでくることも多くあります。常時、呼吸器を必要とする人もいますが、睡眠時や夜間帯のみ使用の人も多くいます。

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たまに、機器を忘れたり、トラブルが発生することがありますが、このような場合には臨床工学技士の方で対応しています。

 

また、検査を行うための準備や、場合によっては検査補助を行う場合もあります。

 

このため病室で患者さんやご家族と接する機会も多くあります。

 

病室に入った際にいつも気にしていることがあります。

 

それは、呼吸器を正しく使用しているのかということです。

 

 

私はNICUと一般病棟の呼吸器導入から在宅へ呼吸器を持ち帰るまで関わっております。特に、在宅で呼吸器を使用している小児の場合、検査入院や体調不良で入院になるケースが多くあるため、在宅移行後もご家族含めてお会いすることがあり、在宅呼吸器に関する質問を受けたり、情報交換を行なったりしております。

 

 

在宅で呼吸器を使用している患者さんは、在宅に移行する際に機器の説明を受けていますが、他院で在宅呼吸器を導入した患者さんは機器に関する説明が不十分だと感じることが多くあります。

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病院では在宅用の呼吸器を使用する期間が短く、医療従事者が機器の使用方法に不慣れな場合があるのではないでしょうか?

 

また、在宅へ移行したあとは訪問看護が入るようになるため、在宅で発生するトラブルにはどのようなものがあるのかあまり情報が入って来ないのではないでしょうか?

  

本来は機器操作方法は医療従事者が説明を行わなければ行けませんが、呼吸器に精通した貸出メーカーが行なっている場合があるのではないでしょうか?

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医療従事者、メーカーの方のどちらからの説明でも呼吸器の操作方法は正しく説明されていると思いますが、トラブルシューティングや付属品のテストラングなどの使用に関して説明不足が感じられる場合があります。 

 

 

当院へは日本各地から患者さんが来るため、国内で各メーカーから販売されているの在宅用呼吸器は全て対応したことがあります。

 

 その中で多く見られる使用間違いが、患者さんから呼吸器を外す場合、呼吸器回路にテストラングを接続するということです。

 

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よく見ると、テストラングの中が水浸しになっています。

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人工呼吸器を患者さんに装着していなくても電源を切ることなく、テストラングで稼働させている方が多くいらっしゃいます。そうすると、加湿された空気がテストラングに流れていくので水浸しになってしまいます。

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水浸しになったテストラングには菌が繁殖してしまうため、空気の流れに乗って呼吸器回路に菌が流れ、回路が汚染されてしまいます。

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当院に検査入院した患者さんで、原因不明の高熱により何度も入院をしていたという方もいらっしゃいました。もしかしたら、テストラングの菌が原因だったのかもしれません。

 

 

また、 ある病院では臨床工学技士が工夫して、回路とテストラングの間に人工鼻を接続し、テストラングに水が行かないようにしている施設もありました。

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しかし、テストラングに水は行きませんが、人工鼻に水がたまり菌が繁殖しますのでこの方法もオススメ致しません。

 

 

過去にニュースで報じられた事故で、病院で人工呼吸器使用中患者さんを検査に連れて行った時に

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呼吸器回路が外れたままだとアラームが鳴るので、テストラングをつけてアラームがならないようにしていました。

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検査後、病室に戻ってベッドに移動させ、

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アンビュバックを外しましたが、呼吸器を患者さんへ接続するのを忘れてしまい、その場を離れてしまいました。

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人工呼吸器はテストラングが接続されているためアラームは鳴りません。

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患者さんは自分で呼吸ができないため 、低酸素で亡くなってしまったという事故がありました。

 

 

在宅でも同じ事故が起きないとも限りません。

 

在宅では吸引時にアラームが発生するのを嫌がり、呼吸器回路にテストラングを接続する方が多くいます。

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吸引後、うっかり呼吸器をつけ忘れてしまうかもしれません。

 

 

実際に在宅で起きたヒヤリハットを紹介します。

 

気切した3歳児、体調不良時と夜間のみ呼吸器を使用していました。

吸引時に呼吸器を外すとアラームが発生するので、吸引時は毎回テストラングを装着していました。

ある日、深夜に呼吸器の回路が外れてしまったということがありました。両親は隣で寝ていてアラームが鳴ったので、すぐにアラーム対応を行いました。

しかし、深夜帯という時間帯もあり、寝ぼけてしまい、急いでテストラングをつけ、アラームが鳴らなくなったのを確認して寝てしまいました。

少ししてからハッと気がついて起き、呼吸器を子供に装着しなおしました。

幸い、自発呼吸がある子だったので、大きなトラブルは無かったそうですが、冷や汗をかき、とても怖い経験だったとのことでした。

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今まで多くの在宅呼吸器使用者・ご家族とお話してきましたが、多くの方がテストラングの正しい使用方法を知りませんでした。場合によっては説明を受けた時点で、機器を外す際はテストラングを使用するように言われてた人もいました。

 

テストラングとは呼吸器が正しく動作しているのか、テストをする時に使用するラング(肺)です。

 

在宅でのテストラングは、呼吸器が故障しているのではないかと疑われた時に正常動作するか確かめるために使用します。決して日常的に使用するものではありません。

 

もし、今まで呼吸器を外す際にテストラングを使用していた場合は、汚染されている可能性がありますので交換をオススメします。

中のゴム部分のみの交換が可能なものもあります。買い替えが必要なのか、それとも交換できるのかなどは掛かりつけの施設かメーカーへ相談してみてください。

 

 

当院では使用中・使用後回路にはテストラングが接続されないように呼吸器の近くに置かないようにしています。

 

呼吸器トラブルが発生した場合でも呼吸が確保できるよう、アンビュバックを呼吸器に常備しています。 

ディスポ救命救急セット レスキューセット D-14型(成人用)

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在宅呼吸器を使用している方で、家にアンビュバックがあるけれど、どこに保管しているかわからないという場合が多くあります。

 

アンビュバックは、いざという時に使用できるよう呼吸器の近くに置いてください。また、使用方法が不安だと思いますので、定期的に練習するようにしてください。

 

 

 

 

最後に 

在宅呼吸器でのテストラング使用はとても多いと感じています。一歩間違えれば命に関わる事故が発生することも有りえます。ご家族だけでなく、操作方法を説明する医療従事者も正しい使用方法の習得が必要になります。

 

もし、知り合いの方に在宅呼吸器を使用している方がいれば、テストラングの正しい使用について説明していただけると事故の可能性が少なくなりますので、ぜひ伝えてください。

 

在宅医療は(介護施設なども含めて)今後益々増えていきます。医療経験がないご家族などが不慣れな機器を管理していかなければいけなくなるケースも増えていきます。それも一つだけでなく、複数のメーカーの複数の機器を管理する場合が多く、不安を抱えている方も多いと思います。

今後は在宅医療にも機器に精通した臨床工学技士が多く関れることで、安全な医療と知識の提供ができるようになればいいと思っています(^_-)

 

 


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