看護師さんが知らないと損するコツを臨床工学技士が伝授します

毎日多くの看護師さんや先生から医療機器の使用方法や操作のコツについて相談を受けます。頂いた相談に対する答えをブログを通してみなさんに伝えることにより、少しでも多くの人の悩みや疑問を解消できるお手伝ができればと思いブログの開設を行いました。

生体情報モニタのアクシデント事例

生体情報モニタに関するアクシデントは、軽度のものから重大なものまで、数多くの施設で発生している報告を聞きます。今回は国内で収集・報告されたアクシデント事例を紹介していきますね。

 

その前に、生体情報モニタにはどのようなものがあるか説明をしていきますね。

 

生体情報モニタとは、患者さんの 心電図、SPO2、呼吸、血圧などの生体情報を測定し、患者さんの状態が異常になったときにはアラーム音と光でお知らせしてくれる装置のことです。

 

患者さんのベッドサイドで生体情報を測定し、大型の画面に波形と数値を表示することができる機器をベッドサイドモニタと呼びます。

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手のひらサイズの大きさの機器で、ナースステーションのモニタに波形を飛ばす機器を送信機と呼びます。心電図測定だけのものと、心電図とSPO2測定できるものがほとんどだと思います。最近は血圧測定ができる送信機も販売されています。

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心電図と送信機の情報をナースステーションで一括して管理するモニタをセントラルモニタと呼びます。

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アクシデント事例紹介

アクシデント事例①

Aさんが体調を崩し入院してきました。

医師からモニタ装着の指示が出たので送信機を装着し、セントラルモニタへ送信機CH番号の登録を行いました。

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しかし、間違ってBさんと同じ番号を入力してしまいました。セントラルモニタでの名前はAさんとなっていますが、Bさんの波形が表示され、Aさんの波形は見ることができない状態となっています。波形の大きさも違うため、誰も気づくことができませんでした。

 

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入院前の検査時心電図と異なったため、不必要な薬剤投与を行ったという事例が報告されています。

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対策として、患者さんへ送信機をつけた時に、送信機のナースボタンを押し、PHSに飛んだ番号とセントラルモニタの番号が合っているか二人で確認するなどの対応方法が考えられます。

 

 

アクシデント事例2

看護師さんが病棟ラウンドから帰ってくると、「ポーン、ポーン」とセントラルモニタから微かにアラームの音が聞こえました。確認すると、電極確認アラームが発生していました。

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 すぐに患者さんの部屋へ向かうと、モニタが外れ、ベッドサイドで倒れている患者さんを発見しました。急いでDrを呼び救命措置を行いましたが、お亡くなりになってしまいました。

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モニタが外れていた状態では、生体情報を測定することができません。もしかしたら本来の波形はVFが発生していたかもしれません。VFが発生していれば、けたたましいアラームがなります。(下の写真は模擬の心電図波形です)

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しかし、モニタが外れていた場合だと「ポーン、ポーン」と電極確認の微かな注意喚起音しか聞こえません。

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のちに履歴を確認すると、モニタが外れた状態で30分以上が経過していたことがわかりました。早い段階で気がついていれば、もしかしたら救命できていたかもしれません。

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対策として、 セントラルモニタの各アラーム設定をしっかり行い、無駄なアラームを極力減らし、微かなアラーム音でも気付きやすい環境を作る。また、人数が少なくて大変だと思いますが、病棟ラウンドを交互に行い、ナースステーションに看護師さん不在が無いように心掛けるなどが考えられます。

 

 

 アクシデント事例3

セントラルモニタが「ポーン、ポーン」と電波切れのアラームが定期的に鳴っています。ナースステーションの看護師さんはアラームが鳴っていることに気づいていますが、問題が無いと思っていました。

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なぜかというと、先ほど、患者さんは元気に廊下を歩き、売店に行きたいと思っている。という会話をしていたからです。

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しかし、いつまでたっても病室に戻ってくる様子が確認できませんでした。心配になって病院内を捜してみると、同じ階のトイレで倒れているところを発見しました。急いでDrを呼び救命措置を行いましたが、お亡くなりになってしまいました。送信機は装着されたままでした。

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実は、数時間前のセントラルモニタに「電池切れ」の警報メッセージが出ていました。 電波切れ警報はアラーム音が鳴らないため注意が必要です。

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電池切れの警報が発生してどのくらい使用可能なの?と聞かれることがあります。

電池切れ警報が出た後は、使用電池や機器によって使用可能時間が異なります。いつ電源が切れるかわからないのですぐに交換をしましょう。

 

対策として、患者さんが病棟を離れる際には看護師さんに声掛けをしてもらうことを徹底する。送信機使用時は新品の電池を使用し、電池切れが起きにくい環境を作る(お金がかかりますが😅)などが考えられます。

 

 

この他にも多くのアクシデントが発生しております。

生体情報モニタの装着は簡単にできますが、患者さんの情報を教えてくれる大切な機器になります。操作方法や管理方法を間違ってしまうと重大なアクシデントにつながってしまう危険性があります。アラーム値の見直しを行い誤アラームを防いだり、アラームが発生したら、また鳴ったと放置せずに確認する。小さい気付きで重大アクシデントを防ぐことができますので、忙しくて大変だと思いますが、モニタのチェックも行ってみてください😄

 

 


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