看護師さんが知らないと損するコツを臨床工学技士が伝授します

毎日多くの看護師さんや先生から医療機器の使用方法や操作のコツについて相談を受けます。頂いた相談に対する答えをブログを通してみなさんに伝えることにより、少しでも多くの人の悩みや疑問を解消できるお手伝ができればと思いブログの開設を行いました。

加温加湿器MR850の使用方法について

今回は、加温加湿器850の使用方法についてお話していきますね。

 

基本的には電源を入れるだけで加湿できてしまうので、あまり詳しく説明を受ける機会がないと思いますが、実は色々な機能を持った優れものの機械なんです。

f:id:yasashi-kiki:20180210003516p:plain

 

まず、電源を入れる場合は下のボタンを押すと電源が入ります。

f:id:yasashi-kiki:20180223224041p:plain

 電源が立ち上がりました。

f:id:yasashi-kiki:20180223224735p:plain

下のボタンが消音ボタンになります。

 

f:id:yasashi-kiki:20180606233958p:plain

下のディスプレイに温度を表示します。

 

f:id:yasashi-kiki:20180606234217p:plain

温度は①加温加湿チャンバー出口部と②呼吸器回路口元温度の二つで測定しています。 

f:id:yasashi-kiki:20180607003036p:plain

消音ボタンを長押しすると①チャンバー出口部が点灯して、出口部温度、

f:id:yasashi-kiki:20180606235407p:plain

続けて、②口元温度が点灯して口元温度を表示します。

f:id:yasashi-kiki:20180606235719p:plain

 

通常の使用ではチャンバー出口部を表示していますが、実はあまり知らない方が多いのですが、温度表示は温度の低い方を表示していますので、トラブル発生時に確認するポイントが変わってきます。 

 

設定モード

加温設定は挿管モードとマスクモードの2パターンがあります。

電源立ち上げ時は挿管モードになります。

 

f:id:yasashi-kiki:20180607000222p:plain

 

下のボタンを長押しすると

f:id:yasashi-kiki:20180607000313p:plain

  

マスクモードに変更することができます。電源を入れ直すと挿管モードで立ち上がるので再設定が必要になりますので気を付けてくださいね。

f:id:yasashi-kiki:20180607000503p:plain

 挿管モードとマスクモードでは設置温度が違いますので必要に応じて設定して下さい。(設定温度は後の表を参考にして下さい)

 

加湿効率を上げるため、挿管・NPPV・ハイフローのどの治療でも挿管モードを推奨します。特に、新生児の挿管治療では体温を下げない、NPPV・ハイフローでは脳を冷やさないためにも、常に挿管モードを推奨します。

f:id:yasashi-kiki:20180602010519j:plain

 

加温加湿器の温度設定

加温加湿器MR850は、患者さんにあった温度設定にすることができます。(裏モードに入ると設定をすることができます。)

f:id:yasashi-kiki:20180224001226p:plain

 その他の設定として0、

f:id:yasashi-kiki:20180602000918p:plain

f:id:yasashi-kiki:20180602001022p:plain

2…

f:id:yasashi-kiki:20180602001045p:plain

5まであります。

f:id:yasashi-kiki:20180602001107p:plain

 

 温度設定は下の表のようになっており、加温加湿チャンバー出口部と呼吸器回路口元温度の温度を決めることができます。

(間違って設定が変わってしまう危険性があるので、変更方法はメーカーへ確認して下さい🙇) 

挿管モードの温度設定

運転モード

ディスプレイ表示

チャンバー出口温度

呼吸器回路口元温度

オート

-A-

35.5〜42℃

39〜40℃

マニュアル

0.0

37℃

40℃

1.0

38℃

40℃

2.0

39℃

39℃

3.0

40℃

39℃

4.0

41℃

39℃

5.0

42℃

39℃

 

 

マスクモードの温度設定

運転モード

ディスプレイ表示

チャンバー出口温度

呼吸器回路口元温度

運転モード

-A-

31.0〜36℃

34℃

マニュアル

0.0

31℃

34℃

1.0

32℃

34℃

2.0

33℃

34℃

3.0

34℃

34℃

4.0

35℃

34℃

5.0

36℃

34℃

 

推奨設定

基本的には環境温を考慮して温度を自動で調節してくれるA(オートモード)を推奨します。少し難しい話をしますので、面倒だったら飛ばして読んで下さい😅。

 

環境温が高い場合や呼吸器が動いていると機械が熱を発して、加温器に入ってくる空気が熱くなります。

 

A(オートモード)以外では、暖かい空気が入ってくると加温器の温度検知センサーは、空気を十分温めたと勘違いしヒーターを止めてしまします。すると、患者さんには暖かい、乾燥した空気が送られてしまいます。

 

A(オートモード)ではヒータープレートを温める時に使用する電力と温度を測定して加湿不足になっていないか計算し、口元温度を35.5〜42℃に変動加温することによって十分な加湿が可能になります。

 

 

 

トラブル対応方法 

よく発生する二つのトラブル対応方法を説明します。

 

① 温度が上がらない

・温度プローブ部分に結露が溜まっている可能性がありますので、一旦回路から外して水を払ってください。

・温度プローブが断線している場合がありますので、プローブを他のものと交換してみてください。 

・温度プローブが外れていることがあります。呼吸器回路からの空気漏れも発生しますので注意が必要です。

(温度が上がらない場合の原因と対応方法はこれ以上ありますが、別の機会に詳しく説明します) 

 

②結露が多く出る。

結露が多いと回路内に水がたまり治療の妨げになることがありますね。

 通常はA(オートモード)で使用していることが多いと思いますので、設定を0にすることにより、チャンバー出口と口元温度に差をつけることで結露が出にくくなります。

この設定でも結露が出る場合があります。この場合は回路にプチプチなどを巻くと結露しにくい場合があります。

 

 

加温加湿器は電源を入れるだけで簡単に使えますが、設定変更することで患者さんにより良い状態で使用することが可能です。また、原因不明のアラームや結露などに悩まされている方もいるのではないでしょうか?温度プローブ部分の確認や設定変更によりアラーム解消できることもありますので、参考にしてみてください😄

 

 

 


人気ブログランキング