投薬に関するインシデント・アクシデントは毎年多くの病院から報告されています。
日本医療機能評価機構からの2016年度のアクシデント報告では、薬剤関連が約40%、療養上の世話が約16%、ドレーン・チューブ関連が約15%などで、薬剤関連のアクシデントが群を抜いて多いことが分かります。
看護師さんは多くの患者さんを受け持ちしているため、いつも忙しいと思います。投薬時に他の患者の処置や電話対応が重なってしまうと、一旦離れ再度投薬作業を行う際にアクシデントにつながる危険性が高まります。
薬剤間違い関連による死亡事故も毎年報告されています。
事例としては、①低血圧の患者さんに誤って他患者の降圧剤を服用させ、その後体調悪化し、数日後に亡くなってしまった。②拡張型心筋症で入院していた患者さんに、10倍量のモルヒネを投与。その数日後に亡くなってしまった。などが報告されています。
投薬間違いを起こしてしまうと最悪の場合、患者さんに重篤な後遺症が残ったり、亡くなられてしまい、患者さん・ご家族のみだけではなく、自分も含めて多くの人の人生が変わってしまいます。
このようなことが起こらないよう、投薬間違い防止に気をつけ、各病院で決められている電子カルテや処方箋での確認手順をしっかり守ることが大事なことだと思います。
また、患者さんに薬剤を投与するときに6Rの確認がとても重要になります。
6Rとは、与薬時における6つのright(正しい)のことをいいます。
(1)Right Purpose (正しい目的)
(2)Right Dose (正しい用量)
(3)Right Drug (正しい薬剤)
(4)Right Route (正しい経路)
(5)Right Patient (正しい患者)
(6)Right Time (正しい時間)
初めは6個覚えるのには苦労すると思います。色々な方が語呂合わせを考えていますが、自分には少し難しかったです。そこで、何かいい案がないか寝ないで考えてみました。
考えついたのが、『もりやけ(る)かじ』[森焼け(る)火事]です。
「薬剤間違えは森が焼ける火事よりも重大な出来事である」と覚えてもらえると覚えやすいかもしれません😉
『もりやけ(る)かじ』は、目的・量・薬剤・経路(ルート)・患者・時間です。
も『目的』
(1)Right Purpose(正しい目的)
Drが間違って処方することもあります。投薬する薬品が、患者さんにどのような目的で投薬されるのか疾患を確認した上で投与しましょう。
り『量』
(2)Right Dose(正しい用量)
薬品の単位や量にはアンプル・ml・mg・μg・mEqなどがあり、単位を間違ってしまうと量が変わってしまいます。単位や量が指示どおりが確認しましょう。
や『薬剤』
3)Right Drug(正しい薬剤)
似ている名前で、効能が真逆だったりするものも多く存在しています。薬剤を間違えると重大アクシデントになる危険性もありますので、投薬するまえに必ず薬剤が合っているのか確認しましょう。
け(る)『経路(ルート)』
(4)Right Route(正しい経路)
経口か静脈投与、皮下投与かによって量が大きく変わってきます。また、薬品によっては単独で投与しなければ配合変化を起こしてしまう薬剤もありますので、どの経路が適切かを意識する必要があります。
か『患者』
(5)Right Patient(正しい患者)
同姓同名の患者さんには特に注意が必要です。また、医療者が患者名を言って確認する場合、患者さんは名前が間違っていてもとっさに返事をしてしまう事もありますので、患者さん本人に自分の名前を言ってもらいましょう。
じ『時間』
(6)Right Time(正しい時間)
指示の日時と異なっていないか確認が必要です。また、投与速度にも注意が必要です。
薬剤の準備時・与薬直前に6Rを確認する事でアクシデントを防ぐことができます。ぜひ参考にして頂けたら嬉しいです😊