今年の6月に韓国の仁川広域市にある嘉泉大学吉病院(Gachon University Gil Hospital)で開催された[NICUケアワークショップ2017-韓・日未熟児呼吸管理を中心にー]で、当院のNICUで働く臨床工学技士がどのような業務内容を行っているのか講演を行ってきました。韓国では医療工学士という国家資格がありますが、まだまだ人が少なくNICUで勤務している人はいないそうです。
NICUケアワークショップは医師、看護師、臨床工学技士を対象としたワークショップで、毎年異なるテーマで開催されています。2017年で7回目になりますが、今回初めて日韓での合同ワークショップ開催となりました。
近年の日本の周産期死亡率は世界の中でもダントツに低く、最も安全なレベルの周産期体制を提供しています。
この技術を韓国にも取り入れようと、嘉泉大学吉病院NICUの孫先生が10数年前から日本の病院見学や学会に頻繁に出席されていました。NICUケアワークショップは、毎年長野で開催されている新生児呼吸療法モニタリングフォーラムを参考に行われているそうです。
ワークショップでの発表は英語ではなく、母国語での発表でした。スライドも母国語で作成し、主催者の先生が一人で日本語を韓国語へ、韓国語を日本語へ翻訳してくださいました。スライドをまとめた資料は400ページにもなりました。 (孫先生お疲れ様でした😊)
今回は呼吸管理を中心としたテーマで行われ、日本からは青森県立中央病院、東京女子医科大学東医療センター、聖隷浜松病院の先生方が韓国の先生と同じテーマで、各施設の治療方法や経験談などを講演されていました。基礎的な内容から応用編まであり、とてもわかりやすく勉強になる内容でした。また、医療関連企業の方が人工呼吸器のグラフィックモニタについてお話され、韓国の方々からも大好評の内容でした。
韓国の先生方の発表もとてもわかりやすく、韓国での治療の実情などを知れて大変勉強になりました。特に、日本のNICUではあまり使用されていないPAVを使用できる呼吸器が多く導入されており、PAV使用について理解が深まりました。
テーマ以外では、当施設の臨床工学技士がNICUで行っている業務内容について講演と、神奈川県立こども医療センター、久留米大学病院、東京女子医科大学東医療センターの認定看護師さんから、各施設のNICUでの新生児清潔ケア方法についての講演がありました。看護師さん達は講演後、全員が壇上に上がり質疑応答を行いましたが、韓国の看護師さんたちからとても多くの質問があり、全体的にとても盛り上がった会となりました。
お昼ご飯は、「ほっともっと」のお弁当でした。韓国らしさが詰まったお弁当で、とても美味しく頂きました。
また、嘉泉大学吉病院NICUの施設見学も行ってきました。
韓国で5番目に大きい病院で、街全体が病院のようでした。
使用している機器類はほとんどが日本と同じ機器が使われており、日本の施設の良いところを集めたようなとても素晴らしいNICUでした。
ワークショップのあとは情報交換会があり、韓国では臨床工学技士がNICUに勤務していないので機器管理は医師と看護師で行なっているそうです。日常の機器点検や整備、機器使用相談などができる環境が羨ましく、韓国の病院で働いて欲しいと言ってもらえました🤗。その他にも韓国医療の実情を知ることができ、料理も美味しく、とても良い情報交換会になりました。
韓国の先生達は日本のアニメや芸能(自分が知らない人も多く知っていました😅)に興味があり、日本語が理解できる人がとても多いことに驚きました。
最終日は帰国便まで時間があったのでソウル・南大門観光をしてきました。
有名な小籠包のお店でお昼ご飯を食べてきました。全てが絶品の味で、小籠包は何個でも食べれそうでした。
来年も6月に日韓合同ワークショップを「新生児の血液循環と脳保護」というテーマで開催するそうです。
自分は12月に韓国のNICUを6施設視察し、韓国のNICUの機器管理の現状確認を行い、来年のワークショップで、韓国のNICUでの機器管理状況の報告を行う予定です。
興味のある方はぜひ一緒に参加しましょう。