看護師さんが知らないと損するコツを臨床工学技士が伝授します

毎日多くの看護師さんや先生から医療機器の使用方法や操作のコツについて相談を受けます。頂いた相談に対する答えをブログを通してみなさんに伝えることにより、少しでも多くの人の悩みや疑問を解消できるお手伝ができればと思いブログの開設を行いました。

AEDの注意点について

職業病でしょうか?先日とある学校に行った時、AED自動体外式除細動器)が設置されていることを見つけた時の事でした。

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なにげない気持ちで、ここには◯◯社製のAEDが設置されているのか。機械は異常ないかな?といつもの院内ラウンドのように機械を確認してしまいました😅

すると、通常は緑に点灯いるランプf:id:yasashi-kiki:20170919000422p:plain

赤色に✖️が入っていました。f:id:yasashi-kiki:20170919000635p:plain

この表示は、機械が異常で使用できない状態になっているというお知らせになります。

 

バッテリ交換日付を見ると、5年前に交換していました。◯◯社製のバッテリ寿命は5年になるので、バッテリ劣化が原因だと思い、学校の先生にバッテリ交換を勧めて帰ってきました。後日、先生からバッテリ交換して問題なく使用できるようになった。とお礼の連絡を受けました。何事もない時に発見できてよかったなーと思いました。

 

日本循環器学会AED検討委員会の報告によると、院外での心臓突然死の数は毎年およそ6万人とされています。2010年に目撃された心原性心停止22,463に対して、AEDが使われたのが667件になり、そのうち45%もの人が救命されたそうです。AEDを使用して正しい処置を行えば、半数近くの人を救うことができる事になりますね。

 

最近話題の30キロ減量に成功した芸能人も、以前、フルマラソン中に心肺停止状態になってしまいましたが、AEDによる迅速な処置によって大事には至らなかったという出来事もありましたね。

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AED使用は、Dr以外にも使用が認められていますが。何点か注意点があります。

1.電気ショックを行う時は、傷病者に触れない。

傷病者に触れると関電をしてしまいます。

 

2.身体が濡れている場合、胸部全体を乾いた布で水分を拭き取ります。

身体が濡れていると、電気ショックを行っても体表面を電気が流れてしまい効果が無いことがあります。

 

3.心臓ペースメーカーや除細動器が植え込まれている場合はその部分を避けて電極パッドを貼ります。

電気ショックを与えると植え込まれた機器が壊れてしまう危険があります。

 

4.湿布などの貼り薬がある場合は、はがして薬剤を拭き取ってから電極パッドを貼ります。

貼り薬の上に電極パッドをはり、電気ショックを与えると効果が弱まったり、火傷の危険性があります。

 

5.胸毛が濃い場合、電極パッドを強く押し付けて密着させるか。予備のパッドがあれば、1枚目のパッドで胸毛を除去を試みる。また、レスキューキットの中にカミソリがある場合はカミソリで胸毛の除去を試みる。

胸がが多い場合、電気ショックを与えても十分な効果を得られないことがあります。

 

6.呼吸や意識が戻ってもAEDの電源を切ったり電極パッドを剥がしたりしない。

一度状態が回復したように思えても、再度状態が悪化することがあるので機器を稼働させたままにする。

 

その他として、救命センターではAED使用前後の心電図波形が今後の治療に必要になるため、救命センターへの機器貸出しがあると喜ばれます。また、機器から過去のデータを取り出す出す際に専用ケーブルが必要になることがありますので、患者救命のために揃えておくと良いかもしれません。

 

2010年の心原性心停止22,463件に対しAEDが使われたのが667件と3%しかありませんでした。この原因は、まだまだ街中にAEDが普及していないこと、AEDを設置していてもどこに設置しているかわかりにくいことが考えられます。今後、もっと多くのAEDが街中に普及して多くの命が救われることを望んでいます。

また、AEDはあるがバッテリ切れ、パッドが経年劣化によって粘着性がなくなっていた、などによって救われるはずの命を救うことができなかったということが無いよう、維持管理することの重要性が広まることを期待しています。

 

 


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