看護師さんが知らないと損するコツを臨床工学技士が伝授します

毎日多くの看護師さんや先生から医療機器の使用方法や操作のコツについて相談を受けます。頂いた相談に対する答えをブログを通してみなさんに伝えることにより、少しでも多くの人の悩みや疑問を解消できるお手伝ができればと思いブログの開設を行いました。

除細動器の使用方法と簡易動作チェック(ハートスタート XL - Philips InCenter)

今回は除細動器(ハートスタート XL - Philips InCenter)の使用方法についてお話をしていきますね。

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日本光電の除細動器について知りたい方は、過去記事をご覧下さい。  

 

とても重要な機器なのに、使用する機会が少ないので使用方法に関して不安だったり、全くわからないという方が少なからずいると思います。なかには、どこにあるかわからないという方もいるかもしれませんね。

記事を参考に、機器操作できるか確認してみて下さい。

 

 

 

使用時の注意点 

患者さんが大量に汗を書いたり、胸が濡れている場合にはしっかりと拭き取ってから除細動を行いましょう。濡れたままだと、除細動パドル間の体表面を電気が流れてしまい、効果が弱くなってしまうことがあります。

 

湿布などの貼り薬が貼ってある場合、貼り薬の上に除細動パドルを置いて放電を行うと、効果が弱くなったり、火傷の危険性があります。貼り薬を剥がして残っている薬剤が無いように拭き取りましょう。

 

ネックレスなどの金属製品をつけている場合、金属製品に電気が流れて火傷の危険性がありますので外すようにしましょう。また、ベッドの金属類に触れている場合でも火傷の危険性がありますので注意しましょう。

 

 ペースメーカーなどが埋め込まれている場合、埋め込み機器の真上を避けてパドルを圧着させて使用しましょう。

 

 

 

 必要物品

①除細動器専用のパッドまたは専用のジェルを準備します。または、専用の使い捨てパッドを準備します。

 

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専用の使い捨てパッドを使う場合は、専用のコネクタを機器に取り付ける必要があります。

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 Defib-Padsは開けると以下のようなパッドが入っており、引っ張ると2枚に分かれます。

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ジェルに比べて準備や使用後清掃が簡単でですが、粘着性がないので貼ったままにしておくと落ちてしまいますので注意してください。

 

 

ジェルを使用する場合は除細動器のパドル全体に均一にジェルを塗るってください。

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*注意 除細動器専用のジェルを使用する

たまに、超音波装置用のジェルが除細動器に設置されていることを見ることがあります。超音波装置用のジェルは除細動器専用ジェルよりも抵抗が高いため、治療効果が低下することがあります。また、火傷の危険性がありますので、専用のジェルを使うようにしてください。

 

 

 

使用方法

 

①電源の立ち上げ

除細動器には電源ボタンがありません。

エネルギ設定ダイアルを回すことによって電源が立ち上がります。

 

設定は医師の指示のもと行いますが、成人の心室細動に対する設定は150J以上が推奨されています。自分の経験では150Jで治療を行うことが多いです。(新生児では2〜4J/kgが推奨されています)

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心房細動に対して治療を行う場合は、心電図を装着し、同期ボタンを押して同期モードで使用します。(心室細動の場合は出力しないことがあるので同期ボタンは押さないでください) 通常100Jを用い,QRSに同期させて通電を行います。

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 ②パドルを患者さんに圧着

パドルを第2、第3肋骨と心尖部に圧着させます。

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装着時、パドルコンタクトが赤くなっている場合は不完全装着になります。放電ボタンを押すと放電しますが(アラームが発生します)、患者さんへ電気が流れないので治療効果は期待できません。CONTACTゲージが緑色まで点灯するようにしっかりと圧着させましょう。

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成人、小児パドルがありますので、患者さんに合ったサイズのパドルを使用するようにしてください。(新生児用パッドの販売はしていません)

 

 通常は成人用が装着されています。f:id:yasashi-kiki:20180209224344j:plain

①突起部を下に押し、②上に引き上げると小児用のパドルが出てきます。

 

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③充電

パドルか機器本体の充電ボタンを押すと充電が開始されます。

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④ 放電

左右の放電ボタンを同時に押し続けると放電します。

放電時、患者さんやベッドに触れていると感電してしまう危険性があります。必ず声掛けを行い、離れてから放電を行いましょう。

(除細動器操作者に関しては色々な意見がありますが、メーカーでは医師のみとしているそうです)

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 放電後は心電図を確認し、必要に応じてすぐに胸骨圧迫を再開しましょう。

 

 

⑤使用後の清掃と物品補充

使用後は機器の清掃を行いましょう。ジェルを使用した場合は、パッドとホルダーについたジェルをしっかり拭き取りましょう。汚れが残ってジェルが固着してしまうと、その部分の抵抗が高くなり火傷の危険性があります。また、使用した物品の補充をしましょう。

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また、いざ使おうと思ったら使えない。なんてことにならないように日常的な点検が必要です。

日常点検を行った際、放電ボタンを押したが数回に一回しか放電されない故障を発見したことがあります。患者さんへ使用する時にこのような故障があると命に関わってしまいます。

 

このため、日常的に簡易動作チェックすることをオススメします。

 

 簡易動作チェック方法

 電源コードを抜き、「プリント」を押しながら、設定ダイアルを「AED On」に合わせると、簡易動作チェック画面が立ち上がります。

充電ボタンを押すと充電が開始されます。

 

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電源コードが付いたままだと下の写真のようにエラーメッセージが出ますので、電源コードを抜いて下さい。

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充電を促す案内が出ますので、充電ボタンを押します。f:id:yasashi-kiki:20180107022010j:plain

 

 

 

全て正常に終了したら「チェック完了」と表示されます。

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点検結果が印刷されます。動作チェックを行った証拠になりますので保管しておきましょう。

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時間がずれている場合は、裏モードにすると変更できます。(裏モードで他の設定も変えられるので、裏モードへの入り方はメーカーへ確認して下さい、)

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「一般設定」に合わせ「ENTER」を押すと変更画面に移ります。

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除細動器は滅多に使う機会がない病棟も多いと思いますが、いざという時に無くてはならない機器で、いかに速やかに治療が行えるかによって患者さんの予後に影響してきます。定期的に使用方法の勉強会や日常点検を行うことにより、より安全に使用することができると思います。まずは、日常点検から始めてみて下さい🤗

 

 

 


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